The Beatles の名曲 Yesterdayはどんな曲?
The Beatlesはイギリス・リヴァプール出身のジョン・レノン、リンゴ・スター、ポールマッカートニー、ジョージハリスン、からなる4人組のロックバンドです。
1960年代から1970年代にかけて活動しました。
Yesterdayは1965年8月6日に発売された5作目のアルバム「ヘルプ!」に収録されています。
レノン=マッカートニー名義でリリースされましたが、実際にはポール・マッカートニーが単独で書いた楽曲のようです。
Yesterdayは彼自身が14歳の時に亡くした母親について書いた歌詞だったかもしれないと、インタビューにおいて述懐しています。(rockinon.com/news/detail/89504)
また、ジョン・レノンも17歳の時に母親を無くしており、そのことでお互い通じるものがあったのかもしれません。
Yesterday 歌詞
Now it looks as though they’re here to stay
Oh I believe in yesterday
Suddenly I’m not half the man I used to be
There’s a shadow hanging over me
Oh, yesterday came suddenly
Why she had to go?
I don’t know, she wouldn’t say
I said something wrong
Now I long for yesterday
( Yesterday. The Beatles. から抜粋 )
Yesterday 和訳
今やそれはまるでここに留まっているかのように見える
ああ、昨日を大切に思っている
突然僕は半人前の男ではなくなったんだ
僕の頭上には影が掛かっている
ああ、昨日は突然やってきた
なぜ彼女は去らなくてはならなかったのか
分からないなあ 彼女は言おうとはしなかった
何か悪いことを言ったのか
今は昨日みたいな日を心から望んでいる
Yesterday 和訳の解説
1行目
・seem は「〜のように思われる」という意味です。
2行目
・as though は「まるで〜かのように」という意味で、仮定法過去・仮定法過去完了とともに用いられることが多いフレーズです。
e.g. He behaved as though he were a king.
「彼はまるで王様であるかのように振舞った。(実際には王様ではない)」
ここで、it looks as though they‘re here to stay のように仮定法過去になっていないのは、「それはまるでここに留まっているかのように見える」と言っているのですが、実際にここに留まっているからですね。
ちなみに、as though は as if とも言い換えることができます。
3行目
・believe in は「~の存在を信じる」「~の価値を信じる」「~をよいと思う」「~を信仰する」あたりが辞書的な意味です。
和訳では、まだ母のいた昨日が忘れられない、昨日のような何の問題もなかった日々が戻って来て欲しいという作者の思いを読み取り、「大切に思っている」と訳しました。
ちなみに、I believe in you. は「君(の人格)を信じている。」という意味で、I believe you は「君(の言葉)を信じている。」という意味です。
4行目
・half the man は「半人前の男」という意味で、ここではhalf「半分の」は the man を修飾する形容詞としての働きをしています。
・used to be は「かつて~であった(今はそうではない)」という意味です。
母親が亡くなってしまったので半人前ではなく、大人としてやっていかなければならなくなってしまったことを暗示しているのですね。
5行目
・shadow hanging over me 「僕の頭上には影がかかっている」
は hang「~を掛ける」を現在分詞 (-ing)の形にして shadow という名詞を hanging over me の部分が形容詞として修飾しています。
shadow は「影」という意味ですが、母親との別れによる不安を暗示するメタファーになっています。
9行目
・long for 「~を思いこがれる」の意味で、母親のいた昨日を思い焦がれているのですね。
ここまでの歌詞において、 yesterday という語が3回登場していますが、1回目・3回目は母親が存在していた昨日、2回目はいなくなってしまった昨日をそれぞれ暗示していますね。
おわりに
突然やってきた「昨日」という日が、何の問題もないように思えた日々を不可逆的に変えてしまう。
この突然の別れによる喪失感というのは人類にとって普遍的なテーマなのかもしれません。
今日も世界の至る所で誰かが、大切な何かを失ってしまったこと、失ってしまうかもしれないことに思いを馳せながら、切ないメロディーに耳を傾けているのでしょう。